Cー5
小さなインデュースは空を飛ぶように、広い野をかけてゆきました。あっという間に川や畑をすぎ、大きなお城へとつきました。 小さなインデュースは大変憤って、王に直訴しました。 「なぜ竜を倒そうとは思わないのですか。大事な国の姫君を魔物に渡して、口惜しいとは思わないのですか。」 王は嘲笑ってこたえました。 「娘の一人で国が救えるのなら、従うのが国主としてのつとめであろう。だいたい竜を倒そうなどと、だいそれたことをする者は、この国にはひとりもおらんわ。」 小さなインデュースは自国の恥を恥とも思わぬ、その態度に目をみはりました。 「貴男は情けない王だ。貴男の国民の誰ひとりとして、国のために立とうと思わないのなら、私が姫君のために竜を倒そうではないか。」 小さなインデュースに侮辱されて王は玉座から立ち上がりました。 「戯言を申すでない。お前のようなこわっぱなど、竜に立ち向かう前につぶされてしまうわ。下手に竜にてむかって怒らせでもしたら、とりかえしがつかんのだ。許すわけにはいかん。 どうしてもというのなら、お前の力を示してからゆけ。 ここより東の海に浮かぶ礁土。そのもっとも奥の雷丘にあるという、雷霆の剣をもってくるのだ。それを見せたら竜の砦にゆくのを許してやろう。」 小さなインデュースは王の傲慢な言に腹を立てながらも、その話を承服しました。
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