Cー3
次に小さなインデュースは高い高い山を50日かけて登りました。 その間、そこここに咲く赤い惑わし花が絶えず話しかけてきました。 「おちびさん。おちびさん。 一体どちらへ行かれるの。」 「南さ。南へ行って体が小さくても馬鹿にされないところを探すのさ。」 「まあ、大変。だって、この先には険しい山道しかありませんもの。そんなことはやめて、ここで一緒にお話ししましょうよ。」 小さなインデュースは花にかまわず先に進みました。 「おちびさん。おちびさん。 一体どちらへ行かれるの。」 「南さ。南へ行って体が小さくても馬鹿にされないところを探すのさ。」 「まあ、大変。だって、この山の向こうには深い沼と暗い森と恐ろしい獣しかいませんもの。そんなことはやめて、ここで一緒に歌いましょうよ。」
小さなインデュースは花のいうことに耳を貸さず、先へと進みました。 「おちびさん。おちびさん。 一体どちらへ行かれるの。」 「南さ。南へ行って体が小さくても馬鹿にされないところを探すのさ。」 「まあ、大変。だって、この山の向こうでは恐ろしい竜が土地を支配しているんですもの。そんなことはやめて、ここで一緒に暮らしましょうよ。」 万事が万事、こんな調子だったので、小さなインデュースはもう花に目もくれず、先へ先へと進みました。 やがて山のいただき、煙を吐いているところにたどりつきました。 毒の煙があたりにたちこめ、花はここでは咲くことができません。 「ああいやだ。いやだ。わからずやのきかずんぼさん。どこへなりともお行きなさいな!」 小さなインデュースは急な坂を翔るように下りおりました。
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