Cー1

 とおいとおいむかし、
五番目の王様のころ、
小さなインデュースがおりました。
 小さなインデュースは妹公女の16番目の息子。
いつまでたっても体が小さいままなので、
みんなに小さなインデュースとよばれていました。
ほかの兄弟たちはみな立派に成長し、
一族(いえ)を築いて各地を治めましたのに、
小さなインデュースには土地(くに)も家族もありません。
いつも兄弟たちに罵られ、
姉妹たちには嘆かれて、
小さなインデュースは厭になってしまいました。
 そこで小さなインデュースは外の世界へ旅に出ることにしたのです。
 王国の外は人の住める土地ではありません。
年中吹雪が吹いていて、国の誰しも外の世界へ出ることはありません。
一族の者が必死にとめるのもきかず、
インデュースは一人広い雪原に足を踏み出しました。



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