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セルイが部屋に戻ると、子供は起きていた。寝台に力無く腰掛ける様子は、生気がなく、青年の顔色を曇らせた。イウギは虚ろな視線を正面の壁に投げかけていた。 青年は、改めて、この子の境遇を思った。いったいどこまで思い出せたのか、あるいは思い出せなかったのか。その様子からは、計り知れない。 率直に聞くのも気が引ける気がして、彼は子供を朝餉に誘った。しかしイウギは首を横に振った。食欲が戻らないのだ。仕方なくセルイは階下で1人朝食を摂りに行くことにした。イウギを部屋に残してゆくのに抵抗はあったが、今は一人になる時間も必要なのだと思い直すことにした。 階段を下りながら、セルイは自分が子供に対して何が出来るだろうかと一生懸命考えた。
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