18−3
セルイに用意されたのは、使用人用のこざっぱりとした部屋だった。1階で、すぐに用意できるのがこの部屋だったということだろうが、窓がなく、一つしかない戸口の外では、先ほどの無口な男の片割れが仁王立ちになって入り口を塞いでいるのはそういった利便があるからだろう。 医者と、おそらく左官屋じゃ無かろうかと思われる男によって、がちがちにコーティングされた右足をさすって、青年はガックリと肩を落とした。 これは、新手の足かせか・・・・・・?
これじゃあ、城(ここ)で何かをしようと思ってもできるもんじゃない。逃げ出すなんて、論外だ。 このまま、軍部に引き渡されるんじゃないだろうか? それだと、ここに居残る決意をした意味がない。 セルイはベッドの傍らに置かれた杖をとり、ゴリゴリ音のする足を引きずって、戸口の前まで行った。 「あの…イウギさん達は…私の連れはどうなりました?もうずいぶん、ここで待たされているような気がするんですが…」 「お嬢様から指示がでるまではこちらでお待ちください。眠りたければ、寝て構いません。もうお休みになったと、お嬢様にお伝えしておきます」 セルイに顔すら見せず、男は戸口の前から同じ言葉を繰り返す。セルイは戸口に手をかけるが、びくともしないのがわかると、諦めて再び寝床に腰を下ろすのであった。 そして、深い嘆息。 (困った・・・。エレナーグさんは私をどうするおつもりなのか…。) そして 「私はこれからどうすればよいのか…?」
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