16−4
夢を見ていた。 爆音と雷撃と・・・。そこはさながら戦場のようで、怒声と武器がかち合う音以外は聞こえず、煙ばかりで何も見えない。界下では敵味方が入り乱れて戦っているのだろう。 ビカリ、と上空でまた雷撃が走った。自分を狙ったこの槍を避けると、相手を見定めるために空を見上げる。そこには最も近しい魂を持ったあの人の姿があった。彼が自分めがけてその光と熱の鋭い刃を向けている。自分と同じ顔から涙があふれている。憤怒の表情であった。『裏切り者!』と全身で罵っていた。 弁明するつもりはなかった。重苦しかった、彼からの期待を裏切ったことは確かだ。そしてその重みはいま、最高潮を迎え、高波となって自分を飲み込もうとしている。いいさ。それでも。お前になら、俺は・・・。
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