D−1

 「王よ!おやめください!!」

 雷鳴とどろく、暗い塔の中で仕女(しじょ)が叫ぶ。
王と呼ばれた男は、その声に振り向きもせず塔の内奥へと入ってゆく。
 背の高い、形貌(なりかたち)の美しい男である。だがその右手には細くて長い剣が握られていた。
 青白く光るその尖刀で、彼は何をしようと言うのか。
仕女にはそれが分からず、何か不吉な事が、これからなされようとしているのだと感じた。
 同役の女がこの騒ぎを聞きつけて、別室から姿を現した。
「いったい何の騒ぎです?王間で何があったの?」
 廊下で泣き崩れる彼女を慰め、同役の女が事情を聞き出す。彼の姿はもはやそこにはない。
「王が…夜空を見ていて…」
美しい顔を引きつらせて、女が先程のいきさつを話し出す。千年続いたと言われる王朝の1105年目の出来事だった。


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