Aー11
 その種は『生命の木』が結んだ物であった。ツンヴェルギアにおける、唯一の木である。そして、彼女たちが存在意義とする“意志”とは、この宇宙の原理の側面、『神の叡智』を記した樹皮を外部から守ることである。
 畢竟、彼は種を守り続けてその地で果てた。飲まず食わずで、あの過酷な環境下で、7年生きた。 それは生命の木から採取された果実や酒を食したからだと思われる。もし、正常な環境下で生きたなら、彼は300才にはなっただろう。
 種は彼の骸を養分に、順調に育ち、三つのうち二つはある程度育った所で、枝をひとつに結んで『連理の木』となった。 後に、これはツンヴェルギアへの扉となる。そして、そこの住民はこの扉を行き来した人々によって「花と水と氷の民」と呼ばれるようになる。
 最後の種は優しく温かな、肉の花を咲かせた。花は独りでに実を結び、7年を経て一人の子供を産んだ。
その子供はたいそう美しく、透き通るような白い肌に、褐色の髪をしていた。
 千年王都“フェミリオン”の最初の王の誕生である。



 著者コメント: やっと完成しました。中学校の頃からネタをしたためて、捏(こ)ねて寝かしてまた捏ねての連続で、ここまでの形にできました。といっても、こんなの全編のうちの序の口なのですが…(遠い目)。
本編では、フェミリオンは15年前に滅びちゃってるんですが、今回はツンヴェルギアとの関わりの起源を書こうと思いました。本編がまだ進んでないのに、おもっくそマイナーな別編から載せてしまったことは謝ります。用語解説については以下に載せます
…ところで物語はハッピーエンドに限るとか抜かして於いて、何で自身の文章はこんなにアンハッピーなんでしょうね。あはは。
またお会いしましょう〜(^〜^)/~ 2003/11/29




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